遺産分割協議書とは?作成の流れと注意点を行政書士が解説【姫路】
家族が亡くなった後、残された財産(遺産)をどのように分けるかを相続人全員で話し合い、その合意内容をまとめた書類が遺産分割協議書です。
「遺言書があれば不要では?」と思われる方もいらっしゃいますが、遺言書がない場合はもちろん、遺言書があっても相続人全員が同意すれば遺産分割協議書を使って別の分け方をすることもできます。また、遺言書の内容が不明確な場合や、遺言書に記載のない財産が出てきた場合にも遺産分割協議書が必要になります。
遺産分割協議書は一度作成して全員が署名・押印すると、後から内容を変更するためには再び全員の同意が必要です。作成前に十分に話し合い、納得のいく内容にまとめることが大切です。
遺産分割協議書が必要になる場面
以下のような手続きを行う際に、遺産分割協議書の提出が求められます。
- 不動産(土地・建物)の名義変更(相続登記)
- 銀行・郵便局の預貯金口座の解約・名義変更
- 自動車の名義変更
- 株式・投資信託などの有価証券の名義変更
- 相続税の申告(税務署への提出)
相続を知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料(罰金)の対象になります。「そのうちやればいい」と後回しにしていると、気づいたときには期限を過ぎていたというケースも増えています。
遺産分割の方法は4種類ある
① 現物分割
財産をそのままの形で分ける方法です。「不動産は長男、預貯金は次男と長女で半分ずつ」といった形です。最もシンプルですが、不動産など分けにくい財産がある場合は不公平になりやすいです。
② 換価分割
財産を売却してお金に換えてから分ける方法です。不動産を売って現金を分配するケースがこれにあたります。公平に分けやすい反面、思い入れのある実家を売ることへの抵抗感が生じることもあります。
③ 代償分割
特定の相続人が財産を取得する代わりに、他の相続人に代償金(現金)を支払う方法です。「実家は長男が引き継ぐ代わりに、次男に500万円を支払う」といった形です。自宅を売りたくない場合に有効ですが、代償金を支払う資力が必要です。
④ 共有分割
複数の相続人が財産を共有で引き継ぐ方法です。将来的に売却や管理について意見が分かれることが多く、トラブルの原因になりやすいため注意が必要です。
遺産分割協議書の作成の流れ
① 相続人を確定する
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取り寄せて、相続人を漏れなく把握する必要があります。思わぬところに認知した子どもがいたというケースもありますので、しっかりと調査することが大切です。
② 相続財産を調査する
預貯金・不動産・有価証券・自動車・借金(負債)など、すべての財産を調査してリストアップします。借金も相続の対象になりますのでご注意ください。
- 預貯金:通帳・銀行からの残高証明書
- 不動産:固定資産税の納税通知書・法務局での登記事項証明書の取得
- 借金:信用情報機関(CIC・JICCなど)への照会
- 生命保険:保険証券の確認
③ 相続人全員で話し合う(遺産分割協議)
相続人全員で、誰がどの財産を引き継ぐかを話し合います。相続人が一人でも欠けた状態で行った協議は無効になりますので、必ず全員が参加してください。
④ 遺産分割協議書を作成する
協議の結果をまとめた遺産分割協議書を作成します。特に不動産は登記簿(登記事項証明書)に記載された内容をそのまま転記する必要があります。
⑤ 相続人全員が署名・実印で押印する
相続人全員が署名・実印で押印します。各相続人の印鑑証明書も添付が必要です。
⑥ 各種名義変更手続きを行う
完成した遺産分割協議書を使って、不動産の相続登記・預貯金の解約・自動車の名義変更などの手続きを行います。
遺産分割協議書の作成にかかる費用(実費)
| 書類・手続き | 費用の目安 | 取得場所 |
|---|---|---|
| 戸籍謄本(現在戸籍) | 1通 450円 | 市区町村役場 |
| 除籍謄本・改製原戸籍 | 1通 750円 | 市区町村役場 |
| 住民票(住民票除票含む) | 1通 300円前後 | 市区町村役場 |
| 印鑑証明書 | 1通 300円前後 | 市区町村役場 |
| 登記事項証明書(不動産) | 1通 600円(窓口)/480円(オンライン) | 法務局 |
| 固定資産評価証明書 | 1通 300円前後(自治体により異なる) | 市区町村役場 |
| 銀行の残高証明書 | 1通 500〜1,000円程度 | 各金融機関 |
| 相続登記の登録免許税 | 不動産の固定資産評価額×0.4% | 法務局(登記時に納付) |
固定資産評価額が2,000万円の不動産の場合:2,000万円×0.4%=8万円
作成する際の注意点
相続人全員の同意が必要
一人でも反対すると協議書を作成できません。連絡が取れない相続人がいる場合は、家庭裁判所での手続きが必要になることもあります。
不動産の記載は登記簿どおりに
地番・家屋番号・地目・地積など、一字一句正確に記載しないと手続きで差し戻しになることがあります。
実印と印鑑証明書が必要
印鑑証明書は発行から3か月以内のものを求められることが多いため、取得のタイミングに注意しましょう。
遺産分割協議書は複数部作成する
銀行・法務局・陸運局など、それぞれの手続き先に提出するため、相続人の人数分や手続き先の数に応じて複数部作成することが一般的です。
よくある質問
Q. 遺産分割協議書は自分で作れますか?
A. 書式に決まりがないため、ご自身で作成することも可能です。ただし不動産の記載方法や相続人の確定など専門的な知識が必要な部分も多く、不備があると手続きが滞ることがあります。
Q. 連絡が取れない相続人がいます。どうすればいいですか?
A. その方を除いて協議書を作成することはできません。家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申立てる方法などがありますが、時間と費用がかかります。早めに専門家に相談することをおすすめします。
Q. 遺産分割協議書に期限はありますか?
A. 協議書自体に法律上の期限はありませんが、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)や不動産の相続登記義務化(3年以内)がありますので、早めに手続きを進めることが大切です。
行政書士に依頼するメリット
遺産分割協議書の作成は、次のような点でつまずくケースが多くあります。
- 戸籍の収集が複雑で時間がかかる
- 不動産の正確な記載方法がわからない
- 相続人同士の意見がまとまらない
- 銀行や法務局への提出書類の準備が大変
- 相続人が遠方に住んでいてやり取りが難しい
行政書士に依頼することで、戸籍の収集・財産調査・協議書の作成まで一括してサポートを受けることができ、手続きをスムーズに進めることができます。
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